マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

オリンピックの政治利用は徹底的に

 北京オリンピック聖火リレーが、なんだかキナ臭いことになっていますね。

 中国政府によるチベット政策に対し、過激な抗議運動が起こっており――
 聖火がリレー中に奪われかねない事態となっています。

 日本では、今月の26日に長野市内で聖火リレーが行われる予定ですが――
 昨日になって、善光寺がリレーの出発地点であることを辞退するなど、キナ臭さの度合いは確実に増しています。

     *

 僕自身は、もう、ずいぶん長いこと、オリンピックというものに興味を失っているのですが――(笑
 したがって――
 当然、聖火リレーについても通り一遍の関心しか寄せられませんが――

 今回の一連の騒動で、なぜ自分がオリンピックに興味を失ったかを、強く自覚しました。

 それは――
 オリンピックが商業化されているとか政治利用されているとかいったことではなく――
 そうした商業化や政治利用が、いかにも不徹底であるからです。

 もっと商業化したらいい――
 サッカーのワールド・カップのように――

 あるいは――
 もっと政治利用したらいい――
 各国の首脳級が開催地で会合をもつくらいに――

 中途半端なのですよ――今のオリンピックは――
 だから、つまらない――少なくとも、真剣には入れ込めない――

 まるで学芸会のように感じられることもあります。
 慣例だから仕方なしに毎年やっている……みたいな――(笑

     *

 北京オリンピックを、敢えて、純然たる政治問題とみてみましょう。

 もしかすると、今、中国政府はチベット問題を解決する上で、絶好の機会を迎えているのかもしれません。

 オリンピックが国威発揚に有効なのは、すでに万人が知るところです。
 今さら、それをなぞったところで、猿マネの誹りは免れません。

 むしろ、ますますチベット問題は、こじれていくでしょう。

 それよりも――
 中国政府の皆さん――ここは、ひとつ柔軟な発想に立ってみてはいかがでしょうか。

 今回の争乱を機に、一気にチベット問題の政治結着をはかるのです。
 オリンピックの政治利用の最も重厚な例としてしまうのです。

 たしかに、今、チベット側の望むチベット自治を不用意に認めれば――
 中国の実質的な版図は狭まり、潜在資源を失ったり軍事利点を失ったりして、中国共産党の求心力は大いに弱まるでしょう。

 そうなれば、中国全土が混乱に陥る可能性もある――
 その危険性は、よく理解できます。

 が――
 オリンピックを通じ、中国の内政問題が、これほど多くの人々によって認知されたということを、もう少し肯定的にとらえてもよいのではないでしょうか。

 少なくとも、今までにはなかったことなのです。

 こうした内政問題を、国際社会の衆目の中で、敢えて痛みをこらえてでも解決してみせることが――
 これまでの中国政府に対する国際社会の不信感を一掃するために――
 あるいは、中国共産党の求心力を維持する上でも――
 より確実な打開点となることでしょう。

 これを機に、世界中の人々の尊敬を集めることだって可能なのです。
 その際に、実質的な版図が狭まることは、大した損失にはならないはずです。