――出血大サービス
という言い回しがありますね。
例えば、今日などは、暫定税率の期限切れに伴い、各地のガソリン・スタンドが赤字覚悟の値下げを行ったそうですが――
しばしば、この言い回しが使われていました。
昨日までに仕入れたガソリンには、まだ暫定税率がかかっているので、それを値下げして売るということは、少なくとも短期的には赤字を意味する、と――
――でも、お客様のご期待には応えたいですから、出血大サービスです。
ガソリン・スタンドの店員さんが、TV局の取材に、そう応じていました。
この言い回し――
僕は使わないことにしています。
何か違和感があるのですよね。
だって、出血してまでサービスすることはないでしょ(笑
そもそもの発端は――
この言い回しを知った経緯です。
僕は、この言い回しをドリフターズのコントで知ったのですね。
昭和50年代のことです。
たしか、居酒屋の店員がヤクザ風の男に無意味にいいがかりをつけられて散々に殴られる、という筋立てでした。
――これがホントの出血大サービス――
というオチですね。
オチがみえていれば、なぜか店員が無意味に殴られることにも、おかしみを見出せるのですが――
当時の僕に、そんなオチがみえるはずもなく、
(何やってんだろ?)
と、陰惨な印象だけが残ってしまいました。
以後、しばらくの間、「出血大サービス」の意味を理解していませんでしたね。
さすがに、文字通りに出血してみせることだとは思っていませんでしたが――(笑
赤字覚悟で値下げをするようなことだとは理解していませんでした。
こうした経緯がなければ――
「出血大サービス」という言い回しにも、とくに陰惨な印象をもつこともなかったでしょう。
今頃は抵抗もなく使っていたかもしれません。
とはいえ――
「出血」をしてまでサービスをする必要って、本当にあるのですかね(笑
後年、医学生になって外科の実習で手術室に入ったときに――
少しでも患者さんの出血を減らそうと努力している先生たちの姿をみて、つくづくそう感じたものですが――(笑