人の縁というのは、実に不思議なものです。
人の縁を不思議にしている主な要素は、やはり偶然性でしょう。
例えば、新幹線の指定席に座っていて、何とはなしに話しかけた初対面の相手と一気に意気投合してしまい、そのまま親友になったとか夫婦になったとか――
この場合、状況が少しでも違っていたら、お互い、終生、交わることはなかったかもしれません。
例えば、その日は朝から、どちらかが頭痛で苦しんでいたとか、どちらかが仕事のことで頭がいっぱいだったとか――
そうではなく――
たまたま両方とも暇であった――精神的にゆとりがあった――
だからこそ、親友になったり夫婦になったりしたわけです。
偶然性は人の縁の要です。
が――
偶然性だけではないとも思うのですね。
その偶然性を貴重に思うか思わないかという点――
これは偶然ではない――
人の意志に伴う必然です。
人の縁を大切にしようとする者どうしであってこそ――
些細な縁が大きく発展しうるのです。