7月4日の『道草日記』で、
――ぬか喜びをさせるような医療ニュース
の弊害を指摘しましたが――
今日は、そうでない医療ニュースの例をお示ししましょう。
――進行がんにビタミンCの大量投与が効くらしい。
という情報です。
この情報は、少なくとも、ぬか喜びをさせる可能性が明らかに高いわけではありません。
なぜなら、すでに多くの患者さんが実際に試みているからです。
*
――ビタミンCが体によいらしい。
ということは、数十年前からいわれていることでした。
が、
――進行がんに効くらしい。
というのは、ここ数年で声高にいわれ始めたことです。
ビタミンCを、口からではなく、静脈から、点滴で入れるのですね。
1度に数十グラムの量を、週2回のペースで、数ヶ月にわたって点滴します。
すると、がんの進行がくい止められるうるようだ、というのです。
あくまでも「くい止められうるようだ」であって、「くい止める」ではないことに、ご注意ください
すべての進行がんに効くわけではなく、また、その効き方にも大きな個人差があります。
このため、学界で公に認められた治療法とはいえません。
が――
この治療法は、動物実験の段階に止まっているのではないのです。
実際に多くの患者さんが試している――
この点に傾聴の価値があります。
今のところ、少なくとも重大な副作用は知られていないそうです。
つまり、治療の信頼性はともかく、安全性の確認は、済んでいるということですね。
実は、「ビタミンCを1度に数十グラムも点滴する」というのは、一見、非医学的な処置なのです。
「数十ミリグラム」なら許容範囲なのですが――
したがって、この治療法のことをよく知らない医師は、
――なんだか眉唾ものだな。
と、一度は思うでしょう。
僕も思いました(笑
が、海外や国内の使用報告例に目を通す限り、さほどに眉唾ものではないことがわかります。
こういう情報なら、大手の報道機関などが積極的に取り上げてもよいと感じます。
少なくとも患者さんにとっては朗報です。
安全性が確認されているということは――
とりあえず、ちゃんと効くかどうかは脇にやった上で、運を天に任せて試してみることが、許されるのですから――