マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

冗長性を楽しむ

 TVというのは、目まぐるしいですね。
 次々と話題が変わっていく――

 限られた時間に相応の中身を詰め込む技術は見事だと思いますが――
 その辺のやりくりが洗練されているほどに、みているほうは忙しくなっていきます。

 落ち着きがなく感じられてしまうのです。

 あの忙しさに慣れてくると――
 日常生活の全てに落ち着きがなくなってしまうのではないでしょうか。

 例えば――
 同じことを、1時間かけ、じっくり話をする――
 同じことを、繰り返し言い換えて話をする――
 そうした冗長性が、TVに慣れているせいで、不必要に目立ってくるように思います。

 これは、ちょっと残念なことです。

 人間の思考は、本来、冗長なものではないでしょうか。

 同じことを1時間きかされても、同じことを繰り返し語られても――
 それは、そうした冗長性は、そんなに人間の思考にそぐわないものではないはずです。

 名講義や名講演というものは、しばしば――
 そうした冗長性で満ち溢れていますので――

 しばらくの間、TVをみないで生活してみると――
 そうした冗長性を楽しむ感覚が養われてくるように思います。