ヒトの個体がもつ遺伝情報のなかには、ウイルスの感染によってもたらされたと考えられるものがあり――
そうした遺伝情報のなかには、ヒトの生物種としての進化に寄与をしてきたのではないかと考えられるものがあるそうだ、と――
きのうの『道草日記』で述べました。
具体的には――
どんな遺伝情報か――
胎盤に関わる遺伝情報だそうです。
――胎盤
は、ヒトを含む哺乳類において、出産前の母体が備える特殊な臓器です。
胎内の子(仔)へ酸素や栄養を送り、胎内の子(仔)から二酸化炭素を始めとする老廃物を受けとります。
ヒトの遺伝情報をよく調べてみると――
胎盤の形成に関わる遺伝情報のなかには、ウイルスの感染によってもたらされたと考えられるものが少なからずあり――
それら遺伝情報の幾つかは同じ役割を担っているらしいことが、わかったのだそうです。
簡単にいうと――
ウイルスから受けとった遺伝情報の幾つかが重複をしているらしい――
ということですね。
このことは――
長いヒトの進化の過程において、同じ役割を担う遺伝情報がウイルス感染によって繰り返しもたらされ――
その度に最適の遺伝情報が用いられてきた可能性を示唆しています。
つまり――
ヒトにおける胎盤の形成のされ方は、ウイルス感染によってアップ・グレードをされてきたのではないか――
ということです。
こうしたウイルス感染によるアップ・グレードは、胎盤の形成のほかにも、起こっていた可能性があります。
3日前の『道草日記』で――
僕は――
ヒトは、だいたい今から 3 万~ 10 万年前に、
――人らしい社会性の獲得
を遂げたと考えられている、と――
述べました。
ひょっとすると――
この“人らしい社会性の獲得”は、脳の機能の一部がウイルス感染によるアップ・グレードを繰り返した結果かもしれません。
もし、そうであれば――
ヒトが、ヒトたりえたのは、
――ウイルスに感染をしたおかげ――
ということになります。