ヒトが風邪ウイルスをプール(pool)するキャパシティ(capacity)は――
少なくともヒトがヒトになる以前――つまり、だいたい今から 1 万~ 3 万年以上の昔――では、
――満杯になっていた。
と考えるほうが自然である――
ということを――
きのうの『道草日記』で述べました。
では――
その後は、どうなのか――
つまり――
ヒトがヒトになった以後は、どうなのか――
というと――
それが、ハッキリしないのです。
きのうの『道草日記』では、
――どちらもありうる。
と、結論のみを述べました。
つまり、
――すでに満杯になっているとも考えられるし、まだ余裕があるとも考えられる。
と――
ヒトは、だいたい今から 1 万~ 3 万年前に、その生態を地球上の全域に広げたことで、ヒトが風邪ウイルスをプールするキャパシティは約 3 倍になったと考えられる――
というのは、きのうの『道草日記』で述べた通りです。
――キャパシティが 3 倍になったのだから、その後しばらくは満杯になるはずがない
と考えるのは――
おそらく自然なことでしょう。
問題は――
その「その後しばらくは」が、どれくらいの期間を指すのか、です。
具体的には、
―― 1 万~ 3 万年
よりも長いのか短いのか――
もし、長ければ、キャパシティには、まだ余裕があるはずです。
もし、短ければ、キャパシティは、すでに満杯であるはずです。
どちらなのか――
そもそも、
―― 1 万~ 3 万
という、ざっくりとした数値で考えているわけですから――
それより長いのか短いのかを判断するのは、並大抵のことではありません。
ですから――
きのうの『道草日記』では、
――どちらもありうる。
と述べたのですが――
それでは面白くないので――
別の観点から、少し考えてみましょう。
……
……
5月24日の『道草日記』で――
僕は、
――――風邪ウイルスは、風邪ウイルスではなくなったら、ヒトの進化に何らかの寄与を始めるのではないか。
と述べました。
ここでいう、
――風邪ウイルスが風邪ウイルスでなくなる。
とは、
――風邪ウイルスが風邪ウイルスとしてプールされなくなる。
ということであり――
具体的には、
――個体に感染をすることで風邪の症状や徴候を出させていたウイルスが、出させなくなる。
ということ――
つまり、
――風邪ウイルスがヒトの免疫から逃れ、個体の奥深くに潜伏しうるようになる。
ということを意味しています。
――個体の奥深くに潜伏しうるようになる。
とは、端的にいえば、
――生殖細胞にまで感染をするようになる。
ということです。
生殖細胞に感染をするからこそ――
ウイルスは生物種の進化に何らかの寄与をしうるのです。
一方――
きのうの『道草日記』で――
僕は、
――ヒトは、だいたい今から 3 万~ 10 万年前に、“人らしい社会性の獲得”を遂げ、その後、だいたい今から 1 万~ 3 万年前に、その生態を地球上の全域に広げた。
と述べました。
ここで注目をするべきは、
――だいたい今から 3 万~ 10 万年前に、ヒトは“人らしい社会性の獲得”という劇的な進化を遂げた。
ということです。
このとき、ヒトが風邪ウイルスをプールすキャパシティは、満杯になっていたと考えられます。
満杯になっているときに――
ヒトは、劇的な進化を遂げたのですね。
それは――
プールされなくなった風邪ウイルスが、ヒトの生殖細胞に繰り返し感染を起こしたことで、ヒトの進化に劇的な変化がみられた可能性を示唆しています。
いいかえると――
ヒトの進化に劇的な変化がみられるときは、ヒトが風邪ウイルスをプールするキャパシティは満杯になっていて――
そのような変化がみられないときは、キャパシティに余裕がある――
ということです。
よって――
ヒトがヒトになって以後――つまり、だいたい今から 1 万~ 3 万年前から現代にかけて――
ヒトが風邪ウイルスをプールするキャパシティが満杯か否かは――
その同じ期間において――
ヒトの進化に劇的な変化がみられるか否かに等しい――
ということになります。