マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

ヒトが風邪ウイルスをプールするキャパシティ

 ――ヒトは風邪ウイルスをプール(pool)しているのではないか。

 ということを――

 きのうの『道草日記』で述べました。

 

 ここでいう、

 ――プールする。

 が、

 ――共同で負担をする。

 くらいの意味であることは――

 きのうの『道草日記』で述べた通りですが――

 

 何かをプールするには、当然ながら、

 ――キャパシティ(capacity)

 が要ります。

 つまり、

 ――容量

 です。

 

 風邪ウイルスがヒトにプールされる際に――

 その容量の多少を左右しうるのは、どんな条件でしょうか。

 

 ……

 

 ……

 

 1つは――

 5月17日の『道草日記』で、何となく触れました。

 

 ――ヒトの寿命

 です。

 正確には、

 ――ヒトの世代が完全に入れ替わる周期

 です。

 

 5月23日の『道草日記』で述べたように――

 ヒトには獲得免疫がありますから――

 ひとたび感染をした病原体は、宿主の個体から、ある程度の確度で、締め出されることになります。

 

 よって――

 ヒトの個体の入れ替わりの周期が短ければ短いほどに――

 同じ風邪ウイルスが、ヒトの生態系において感染拡大を繰り返しうる期間は短くなるはずです。

 

 そうなれば――

 新種の風邪ウイルスの入り込む余地は、より狭くなる――つまり、容量は減る――と考えられます。

 

 一方――

 ヒトの個体の入れ替わりの周期が長ければ長いほどに――

 同じ風邪ウイルスが、ヒトの生態系において感染拡大を繰り返しうる期間は長くなるはずです。

 

 そうなれば――

 新種の風邪ウイルスの入り込む余地は、より広くなる――つまり、容量は増える――と考えられます。

 

 では――

 その“ヒトの世代が完全に入れ替わる周期”は、具体的には、何年くらいでしょうか。

 

 今世紀や前世紀についていえば、

 ――約 100 年

 とみて間違いないでしょう。

 

 では――

 前世紀以前――つまり、19世紀以前――については、どうでしょうか。

 

 日本の場合――

 中世では、

 ――人生 50 年――

 と考えられていたようです。

 

 それ以前についていえば――

 例えば、縄文期の地層から出土した人骨のうち、ほぼ成人に達していると思われる人骨について、その死亡時の平均年齢を推定すると、約 30 歳なのだそうです。

 

 縄文期は、今から 1 万年ほど前に始まり、3,000 年ほど前に終わっています。

 

 よって――

 ヒトがヒトになった時期を――5月18日の『道草日記』で述べたように――だいたい今から 1 万~ 3 万年前とするならば――

 その時期の“ヒトの世代が完全に入れ替わる周期”は、

 ――約 30 年

 とみてよいでしょう。