――風邪ウイルスは、性急でも凶悪でもないので、あたかもヒトを共生の相手に選び、その進化に何らかの寄与をしようとしているようにみえる。
ということを――
きのうまでの『道草日記』で述べました。
見方を変えると、
――ヒトは風邪ウイルスをプールしている。
ともいえそうです。
ここでいう、
――プール
とは、英語でいう、
――Pool
です。
――共同で負担をする。
くらいの意味です。
8日前の『道草日記』で、
――風邪ウイルスは、ざっと 100 ~ 300 種類ほどある。
と述べました。
これら風邪ウイルスは、実はヒトがプールしているのではないか――つまり、あえて共同で負担をしているのではないか――ということです。
共同で負担をする意義は、短期的には免疫を鍛えるためであり、長期的には進化に寄与をさせるためです。
以上の主張は――
進化の観点からの主張が全てそうであるように、結果論です。
ヒトは、何か目的をもって風邪ウイルスをプールしているわけではありません。
また、風邪ウイルスも何か目的をもってヒトにプールされているわけではありません。
ヒトと風邪ウイルスとが、長い進化の過程で、互いに関わりあった結果、
――たまたま、そうなっているようにみえている。
ということです。
以上のことを踏まえますと――
今般、世界中で蔓延をしている新型コロナ・ウイルスについて――
これを、
――風邪ウイルスの一種
とみなすか否かの議論は――
いささか様相が異なってきます。
新型コロナ・ウイルスは、平均的な風邪ウイルスと比べ、どれくらい性急か、あるいは、どれくらい凶悪か、ということが論点になってくることは明白です。
5月13日の『道草日記』で――
僕は、
――新型コロナ・ウイルス感染症は、未知の風邪である。
と述べました。
つまり、
――新型コロナ・ウイルスは、少し性急で凶悪なところもあるが、基本的には、風邪ウイルスの域を出ていないのではないか。
ということです。
あるいは――
こうともいえます。
――新型コロナ・ウイルスは、風邪ウイルスのなかで、今のところ、最も性急かつ凶悪である。
では――
なぜ、そういえるのか――
いいかえると――
なぜ新型コロナ・ウイルスは最も性急かつ凶悪な風邪ウイルスでありうるのか――
その端的な答えが、
――最も新参の風邪ウイルスだから――
です。
つまり、
――風邪ウイルスは、ヒトと共生を始めるときが最も性急かつ凶悪であり、その後、万年単位の時が流れることによって、徐々に性急でも凶悪でもなくなっていく。
ということです。