他人と仲良くなれる人というのは――
他人との距離を、ほどよく保てる人だと思います。
幼い頃は、そうは思えません。
――他人との距離を自在に縮められる人が、他人と仲良くなれる人だ。
と、何となく信じています。
が――
他人との距離は、決して自在に縮められるものではありません。
どこかで限界に打ち当たります。
これ以上は互いに近付けない、という境界面が――
厳然と存在するのです。
どうせ越えられぬのならば――
その境界面には、あまり近付かないほうがよいのです。
近付きすぎず、離れすぎず――
それが、他人との関係を良好に保つ秘訣でしょう。
境界面には近付かない――
それは、人が生まれながらに抱える孤独の闇の密度を自覚するからこそ、自然と芽生える決意でもあります。
幼い頃は、そのような孤独の闇を自分が抱えているとは、夢にも思いません。
ですから――
他人との距離を、どこまでも縮めようとしてしまう――
傍でみていると――
ときに痛々しいほどです。
とくに幼児の言動をみて、そう感じます。
自分が幼児であった頃を思い出すからかもしれません。