――男の体は美しいか?
と問われれば――
僕は躊躇なく、
――否
と答えます。
男の体は美しくないですよ。
女性の体は美しいのですがね。
それは――
たぶん僕が男だからでしょう。
では――
女性は、男の体を美しいと感じているのでしょうか。
僕は女性ではないので想像をするしかありませんが――
どうも違うように思うのです。
やはり、女性にとっても「男の美しい体」というのは成立しえないのではないか、と――
成立しうるのは、「男の均整のとれた体」とか「男の引き締まった体」とかでしかないのではないか、と――
ただし――
「女のように美しい男の体」というのは、成立しうるかもしれません。
少なくとも、物語の世界では、成立していますからね。
が――
そこにあっても、美しいのは、あくまでも「女の体」であって――
その体に似ているからこそ、男の体であっても「美しい」とみなせるのです。
だから、やはり男の体は美しくないのです。
生物学では、ヒトの体の基本形は女性の体であると考えます。
例えば、胎児が成長する過程をつぶさに観察・分析すると――
男児の体は、女児の体が修飾を受けて変化したものであると考えたくなる証拠が、幾つかみつかるのです。
よって、ヒトとしての本来のデザインは女性の体であって――
男の体は、その変種である、と考えるのは自然な帰結です。
男の体が美しくないのは――
道理です。