人は、自分の直面する問題が大きすぎると、何もできなくなるものです。
「大きすぎる」というのは、
――自分の処理能力を越えているように感じられる。
ということです。
したがって――
すべてのコンサルティングは、まず、「大きすぎる問題」を多少なりとも小さくすることから始まります。
が――
大きな問題を実際に小さくすることはできません。
それは魔法です。
現実世界において、ふつう「えいや!」と魔法をかけるようなことはできません。
では、どうするか――
いったん問題から遠ざかる――
これが一番です。
目の前にあるから大きくみえるのであって――
数歩でも後退すれば、少しは小さくみえるものですよね。
つまり――
コンサルティングの最初の一手は、問題からの後退を迫ることです。
後退は上手に迫らないといけません。
しばしば、問題に直面している当人が気付かぬように、迫ります。
あたかも、問題のほうが勝手に向こうの方へ遠ざかっていったかのように、錯覚させるのです。
実際には、当人の首根っこを引っつかんで無理やり後ずさりさせているにしても、です。