語学の基本要素は4つあるといわれます。
――読み、書き、聞き、話し
の4つです。
が――
哲学者・鷲田清一さんの論説を読んでいて、
(もう一つ、あるな)
と思いました。
それは、
――待ち
です。
鷲田さんの論説は『待つことの意味』というものでした(学士会会報、No.837、2008年11月)
論旨を略記すると、
――待つことは、一見、純然たる受け身の所作であり、人にとっては、さして重要な行為ではないように思われるが、そうではない――人倫に関わりうる重要な行為である。
となります。
とても壮大な論旨なのですが――
それに基づく僕の気付きは、些末なものです。
人と会話を交わしているときに、いかに待つことが大切か――
という話です。
待てない人が多いのですね。
とくに欧米人に多い――(笑
彼らは会話で人を待たせることは悪だと思っているらしく――
少しでも沈黙が訪れかけると、即座に言葉を発します。
(もう少し黙ってようよ)
と思えるときでも、無理に新規の話題を振ってくる――(笑
日本人の多くが英会話を苦手としていますが――
その要因の一つは、意外にも、この「待ち」に関する意識が欧米人とズレているからなのかもしれません。
会話での「待ち」を重視しない姿勢は、欧米人の特徴でしょう。
そういえば――
以前、中東出身の知人と話をしていて、
――会話で大切なのはタイミングだ。
という話で一致したことがあります。
互いに言葉のタイミングを合わせるには相応に待ち合うことが必要だ、ということです。
彼も欧米人と話をして、似たような印象を持ったのかもしれません。
実際――
彼と話をするときは、いつも沈黙がありました。
外国人との会話で沈黙があるのは、ちょっと不思議なことに思えました。