マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

科学の見せ物

 学問は参加して面白さがわかるものであり――
 芸術は見物して面白さがわかるものである――
 そう思っております。

 裏を返せば――
 学問の見物は難解で、芸術の参加は困難です。

 学問を芸術気分で見物するには相応の知識や教養が必要ですし――
 芸術に学問気分で参加するには相応の才能や感性が必要です。

 とはいっても――
 例えば、科学書などは、いわば「科学の見せ物」ですから、

 ――学問の見物なんて無理なのだよ。

 と、最初からサジを投げるわけにはいきません。
 どうにかして読者に学問を見物してもらわねばなりません。

 やはり――
 見せ方が全てなのでしょうね。

 科学書の例でいえば――
 そこで扱うべき科学的知見は限られているわけですから(あるいは、出そろっているわけですから)――
 あとは、それらを、

 ――いかに見せ、魅せるのか。

 という話になるのだと思います。
 いわば、

 ――美術館や劇場の役回り

 ということになるでしょうか。