学問について考えるときは――
どうしても、
――学問が含む芸術的部分
というものが気になってしまいます。
例えば――
科学書や哲学書を読んでいると、その文芸的な要素が、どうしても気になってしまうのです。
それは、僕が日頃から文芸に入れ込んでいるからではありましょうが――
とはいえ――
優れた学術書は、ほぼ例外なく、文芸的にも優れているものです。
いや、逆かな。
劣った学術書は、ほぼ例外なく、文芸的にも劣っている――
が、正しいのかもしれません。
文芸的な要素を抜きにして学術書を語ることは難しいと思うのです。
これを拡張すると――
芸術的な要素を抜きにして学問を語ることもまた、難しい――
と、いうことになります。
事実――
例えば、自然科学における卓越した実験や観察の手法などは――
芸術的な感性に溢れております。
ただし、当然のことながら――
学問が含む芸術的部分は、学問の営みの現場では、あくまでも添え物です。
少なくとも中心部分にはなりえない――
にもかかわらず――
学問としての価値を左右しかねない――それが、学問が含む芸術的部分の宿命です。
何とも理不尽であるように思います。