不思議なことを不思議だと感じられなくなったときに――
人は老いを自覚したほうがいいのかもしれませんね。
10代の頃に、あれほど、
――不思議だ。
と思っていたことが――
今になって、
――ま、そういうもんだろ。
と思うようになってしまったら――
その頭は、間違いなく老いているでしょう。
このことは、必ずしも悪いことではないと感じています。
「老い」を否定的に捉えるだけでは、人の生それ自体を軽視することにつながりかねません。
人は誰しも老いていくのですからね。
ただ、寂しさというか喪失感というか――
10代の頃には、あんなにも手近にあった感性が、今は手の届かない彼方に遠ざかっていってしまったという感覚は――
何とも耐え難いものです。
老いの実感は、結局のところは、寂しさとか喪失感とかに集約されるのでしょうね。
まだ老いらしい老いがほとんど始まっていないはずの30代の僕としましては――
何とも居心地が悪い――
さながら、
(老いよ、どうせなら早く始めてくれ)
という気分です。