医学・生物学系の学術論文を読んでいて、いつも感じることなのですが――
例えば、
―― A は B である。その理由として、……が挙げられる。
という記述を目にしたときに――
「……」のところに、幾つも理由が当てはめられていると、どういうわけか説得力が薄れるのですよね。
―― A は B である。その理由として、C や D や E や F や G や H が挙げられる。
と記されていると、どうもウソっぽく感じてしまうのです。
それよりは、
―― A は B である。その理由として、C が挙げられる。
と簡潔に記されているほうが、はるかにホントっぽく感じられてしまうのです。
不思議ですよね。
幾つも理由のあるほうが、その分だけ余計に論旨が補強されているのですから、説得力は増すはずなのに――
なぜか、そうはならない――(笑
おそらく、論旨を補強する理由というものは、数多く挙げすぎてはいけないのですね。
理由として幾つも挙げられそうなときには、その中から最も強力に補強しそうな理由をたった一つ選び出すほうが、いいようなのです。
他の理由を列挙すると、せっかく強力に補強してくれそうな理由が、かえって弱々しく感じられてしまうのです。
単純な直感ですよ。
だって、たった一人でいる騎士のほうが、護衛をたくさん従えている騎士よりも、何となく強そうではありませんか(笑