今朝、タクシーに乗って、しばらくした頃に――
中年男性の運転手さんが、ふと、
「なんとかなりませんかね」
と、おっしゃったのです。
「『なんとか』って、何がですか?」
と、お訊ねすると、
「ん~」
と言い淀んでおられる――
「景気ですか?」
と水を向けると、
「景気もそうですけど……、あの『給付金』ってヤツですよ」
運転手さん、声を絞り出すようにおっしゃるのですね。
いわゆる定額給付金のことです。
政府が国民一人当たり1万円ちょっとを支給し、定額減税と同じかそれ以上の経済効果を狙う、という政策です。
「あんなんで景気が良くなるとは思えないですがね」
その運転手さんは、定額給付金の政策には納得がいかないのですね。
たしかに、あの政策の効能については、専門家の間からも疑問の声が上がっています。
が――
その運転手さんにとって、問題の根本は政策の中身というよりは――
それを立案した人々にあったようです。
折しも、財務・金融大臣が海外の記者会見の場で酩酊様の言動を見せたことが大きく報じられたばかりです。
そこで、僕はイタズラ心を起こし――
あえて次のようにいってみました。
「いま政権にある人たちが下野して冷や飯を食うようになれば、みんなで溜飲を下げて、知らないうちにおカネを使うようになるかもしれませんね」
すると、運転手さん、
「そう! その通り! お客さんのいう通りですよ」
と頷かれるのです。
あまりにも大きく頷かれたものですから――
(そんなものか)
と思ってしまいました。
最初は口から出任せだったのに――(笑
たしかに、
――他人の不幸は蜜の味
などといいますからね(笑
しかも、最近では、それに対応する科学的知見も得られているとか――
自分自身の成功と自分が妬んでいる者の失敗とを、脳は同じ部位で処理しているらしいとか――
人は恐ろしい――(笑
というわけで――
究極の経済対策は、案外、本当に、
――政権交代
なのかもしれませんよ。
より厳密には「いま政権にある人たちが冷や飯を食うこと」ですが――(苦笑