「BMI」という言葉があります。
通常は英語の「body mass index」の略であり、体格の指標のことです。
が――
最近は、やはり英語の「brain machine interface」の意味で用いられることがあります。
訳せば、
――脳と機械との境界
となるでしょうか。
よって、「BMI技術」などといいますと、
――脳と機械とを繋ぐ技術
を意味します。
例えば――
人が心の中で思い浮かべている画像をコンピュータのディスプレイに表示する技術や――
目が見えなくなったり耳が聞こえなくなったりした人に人工視力や人工聴力を提供する技術です。
虚構の世界ではお馴染みのアイディアですね。
が――
現実の世界では、その萌芽と思しき技術が散見される程度です。
例えば――
人が心の中で思い浮かべている画像を何でも自由に表示することはできませんが――
適当なコンピュータ処理を経ることによって、特定の画像を表示させることならできるとか――
あるいは――
目が見えなくなったり耳が聞こえなくなったりした人に以前と同じ視力や聴力を提供することはできませんが――
電極などを脳に埋め込むことによって、ごく限定的で単純な視覚や聴覚を感じとれるようにするとかいった技術です。
こうした技術が、報道などで伝えられることがあります。
多くの場合、詳細な実情が伝えられないために、しばしば誤解を与えます。
学者や技術者ですら、脳やコンピュータが専門でないと、うっかり騙されてしまうようなところがあるのです。
報道機関が科学や科学技術を正しく伝えることは非常に難しいのです。
また――
仮に正しく伝えられても――
それを人々が正しく理解するのは、もっと難しいといえるでしょう。
科学や科学技術が伝えられる際に、報道機関には相応の準備が許されます。
が、人々には準備は許されません。
パッと伝えられ、サッと理解しなければなりません。
理解はムリでも、それを鵜呑みにしないだけの感性や理性が必要です。
そうした性質を獲得するには、子供の頃からの学校教育が重要な地位を占めるはずですが――
学校教育において、科学や科学技術に関わるところを深めていくには、多大な労力と長大な時間とが必要です。
より具体的には――
例えば、科学研究や科学技術開発に精通した人材を多く学校に配置すべく、相応の公的資金を投入せねばなりません。
そのような人材の育成には、多額のおカネがかかるのです。
社会全体の一大事業です。