マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

自分で自分を騙す

 いつも楽しく幸せな気分で暮らすためには、どうすればいいか――

 一日の終わりに、その日にあった嬉しかったことをメモするといいのだそうですよ。

 たしかに、そうかもしれません。

 嬉しかったことを毎日メモしていくうちに――
 嬉しいと思えることを目ざとくみつけることができるようになる、というわけです。

 嬉しいかどうかなどは、最終的には自分の主観の問題ですから――
 その気になったら、いくらでもみつけだすことができるに違いありません。

 例えば――
 いつも通勤電車で一緒になるオジさんと少しだけ目が合ったというようなときに――
 それを嬉しいと思いこむことは十分に可能でしょう。

 もちろん――
 それをイヤだと思うことも十分にありえますが――
 そこは、ぐっとこらえて、あえて嬉しいと思いこんでみる(笑

 主観の問題だといったのは、そこです。

 通勤電車でオジさんと目が合ったことを嬉しいことの1つとして勘定するかどうかは、最終的には自分の主観で決まることです。

 自分の主観で、そう決めたのなら――
 あとは、そのことが、さも客観的な事実であったかのように、自分の記憶の中に残っていってしまう――
 そのようないい加減な一面が、人の心にはあります。

 そうした心のいい加減さを逆手にとることで、毎日、楽しくて幸せな気分で暮らせるのなら――
 それは叡智といってよいでしょう。

 自分で自分を良い方向に騙せる人は、賢いと思います。