英語で、
――ダダダ!
と話されると――
思わず身構えてしまいます。
何をいわれているのか、ききとれないことが多いからです。
まったくききとれないわけではありません。
大学院の頃は、海外の学会に出かけたりもしていました。
だから、少しはききとれるのですが――
まあ、20~40%くらいしかききとれないのです。
半分に満たないということですね。
面白いのは――
いきなり、
――ダダダ!
と英語で話されて、20%くらいしかききとれないときも――
相手が自分に敵意をもっているかどうか、自分と仲良くしたがっているかどうかは、たいていは、すぐにわかります。
相手の身振りや顔つきや口調からわかるのです。
そういうときには、
――ダダダ!
と話されて十分に2秒くらいは経ったあとで――
相手の伝えたかった内容の具体的な要素が、ボンヤリと浮かんでくることもあります。
おそらく、言葉としては(英語の言葉としては)ほとんどききとれていないのだけれど――
相手の身振りや顔つきや口調から、相手の伝えたかった内容を具体的に推定できてしまうのでしょう。
このとき――
僕は相手のメッセージを言葉で媒介することなく(不完全ながらも)受け取っていることになります。
言葉というものは人同士が心を通わせるのに決定的な役割を果たしますが――
身振りや顔つきや口調の助けを十分に活用することも大切でしょう。
そうした援用を経験し、実感し、慣れていくことで、心の通わせ方に幅が出てくることは、たぶん間違いありません。