北朝鮮が核実験を実施したことで、にわかに国際世論が喧(かまびす)しくなってきました。
中国やロシアなど、これまで北朝鮮の施策に一定の理解を示してきた国々も、今回ばかりは態度を硬化させるようです。
今の北朝鮮の政府は、どうしても核武装をしたいようですね。
核武装をすることで、アメリカなどの武力介入を阻止したいようです。
ブッシュ政権時のアメリカならば、いざ知らず――
今のアメリカが、わざわざ北朝鮮に武力介入をするとは思えませんが――
あちらにしてみたら、そうもいってはいられないのでしょう。
今の北朝鮮は、内憂外患であろうと想像します。
より重大なのは内憂でしょう。
近年の報道をみるかぎり、北朝鮮が韓国並に豊かな国であるとは、ちょっと思えませんから――
日常の暮らしの不満を鬱積させた人々の怨嗟の声は、年々、うねりをあげているはずです。
そんな国内からの刃を交わすためには、国外に仮想の敵をこしらえるのが、手っ取り早いのです。
そうした「敵」が、アメリカであり、韓国であり、日本なのだろうと思います。
歴史が教えるところによれば――
内憂と外患とが結びつくとき、時の政府は倒れます。
今の北朝鮮の政府が懸命に足掻きつづけるのは、理の当然です。
気にかかるのは――
今の北朝鮮の人々はどう思っているのか、ということです。
今の政府を支えようする気持ちが、どれくらい本物なのか――
あるいは、今の政府を覆そうとする気持ちが――
そこが、ものすごく気にかかります。
アメリカのブッシュ政権がイラクに兵を出し、結果的に泥沼にハマったのは――
当時のイラクの人々が、どれくらい本気で、当時の政府を覆そうとしていたかを見誤ったからでしょう。
あのとき、イラクの人々は、多分そこまで本気ではなかったのです。
だからこそ、今、泥沼にハマっている――
同じ過ちを繰り返したくはありません。
北朝鮮の人々が、今の北朝鮮の政府をどう思っているのか――
ぜひとも知っておきたいところです。
もし、本気で支えようと思っているのなら――
いかなる国の政府も、今の北朝鮮の政府と真剣に向き合わねばなりません。
もし、本気で覆そうと思っているのなら――
静観が第一でしょう。
北朝鮮の人々の決断を気長に待つのがよいのです。