麻生総理の衆院解散表明を機に、自民党の内部抗争が激化しています。
これを、
――ベンチのつかみあい
と評されたのは、朝日新聞編集委員の星浩さんです。
なかなかに的確な比喩ですね。
曰く、
――国会や選挙戦での論戦がグラウンドでの野球の試合なら、いわゆる「麻生おろし」は自民党というベンチの中でのつかみあいである。
と――
本来、大切なのは「グラウンドでの野球の試合」なのですが、マスコミは、つい「ベンチのつかみあい」を報じてしまいます。
理由は簡単で、
――「ベンチのつかみあい」のほうが面白いから――
です。
星さんご自身も、それを率直にお認めになっています。
たしかに面白い(苦笑
なぜか――
個々の人間性が、むきだしになるからです。
「ベンチのつかみあい」の面白さは、人間性の面白さに他なりません。
だから、それを楽しむのは悪くないでしょう。
いささか悪趣味ではありますが、その「悪」をシッカリと自覚した上で、あくまで一私人として楽しむ分には、何の問題はありません。
成熟した大人なら誰もがやっていることでしょう。
が、有権者としては、そうはいかないでしょう。
「ベンチのつかみあい」は、あくまでも一政党の内部抗争です。
きたる衆院選での選挙権の行使とは全く無縁の――あれは娯楽です。
現在、自民党内で内部抗争を引き起こしている人々は、自分らが娯楽の対象になっていることを百も承知しているかのようです。
その見返りとして票を入れて欲しいのかもしれません。
それくらい切羽詰まっているように、僕には思えます。
まあ、気持ちはわかりますよ。
――国会議員、選挙に落ちれば、ただの人
ですからね。
とはいえ――
有権者が金銭や物品などと引き換えに票を入れることは、公職選挙法が厳しく禁じています。
娯楽性と引き換えに票を入れることも、また然りでありましょう。