ついに麻生総理が衆院の解散を表明しましたね。
解散ではなく総辞職を選ぶ可能性が報じられていただけに――
それなりにインパクトのあるニュースでした。
自民党内では、世論調査などによる麻生総理の不人気ぶりを理由に、総裁選の前倒しを求める声も上がっているようですが――
そうした声に、麻生総理は全く耳を傾けない方針のようです。
もちろん、自らの手で衆院を解散し、総選挙に挑むわけですから――
全く勝算がないわけではないのでしょう。
が、現実的には、ほとんどないはずです。
総裁選の前倒しを求めている人たちの存在が、何よりの証拠です。
あの人たちは、麻生総理が総裁である限りは選挙に勝てないと感じているからこそ、総裁選の前倒しを求めているわけで――
まあ――
客観的にみて、その通りでしょうね。
ここまでくると、むしろ自民党の勝利のほうが驚きです(苦笑
今後、よほどの事件で世論が激変でもしないかぎり、趨勢は変わらないでしょう。
そんなことは、麻生総理にもわかっているはずです。
「選挙はやってみないとわからない」というのは麻生総理のコメントだそうですが――
これは一種の方便でしょう――自分で衆院を解散するのに、まさか「勝算がない」などとはいえません。
では、なぜ負けを覚悟で総選挙に挑むのか――
一部の報道によると、
――責任の所在をハッキリさせるため。
だそうです。
(なるほど!)
と思いました。
もし、ここで麻生総理が内閣を総辞職させ、新たな総理・総裁に地位を譲った上で総選挙に負けた場合に――
自民党内での責任の所在が曖昧になります。
新総裁は敗れた責任を麻生総理に押し付けるでしょう。
が、少なくとも形式論的には、新総裁の責任です。
よって、新総裁を支持する人々と親麻生であった人々との間で、責任のなすりつけあいが始まります。
そうなったときには――
自民党は瓦解するでしょう。
政党としての体を成さなくなります。
民主党政権が次の総選挙を挑む頃には党がなくなっているかもしれない――
それを防ぐために、麻生総理は、敢えて自らの手で、敗色濃厚の総選挙に挑むのではないでしょうか。
もし、そうだとしたら――
麻生総理の決断は、自民党の総裁としても日本国の総理としても、大変に見事です。
もちろん、一見、自民党の保身しか考えていない決断のようにもみえるのですが――
ことは一政党の論理をこえています。
なぜならば――
せっかく自民党の長期政権が終焉し、民主党の新政権が樹立されても、そのあとで自民党が瓦解してしまったのでは、日本国が困るからです。
政権交代の常態化が、いっそう遠のいてしまいます。
自民党の長期政権が民主党の長期政権に取って代わるだけでは意味がないのです。
与党に取って代わりうる野党が常に健在でなければなりません。
議会制民主主義において、政権交代が起こらないことほど深刻な矛盾はありませんので――