外食をするときに、お店を決めるファクターになっているのが、食事をとる場所のスペースです。
どんなお料理をどんな風に出してくれるかは大切ですが――
どれだけゆったりとしたスペースで、どれだけゆっくりとしたペースで食事ができるかということも、僕には、けっこう切実な問題です。
狭いところに座って窮屈な姿勢で食べていたのでは、お料理の味を十分に感じとれないようなところがあります。
とくに僕は人より図体がデカいので、余計にそうなのでしょう。
何年か前に、ある地方都市を訪れたときに――
やたらと狭い座席に通されたことがありました。
そのお店は、客に団らんの場を提供するのではなく、個々の客が出された料理を存分に味わって欲しいという趣旨のようでした。
その狙いは悪くないと思ったのですが――
いただけなかったのは座席のスペースが狭かったことです。
隣の客の食べる様子がみえないようにはなっていたのですが――
仕切りで囲まれた空間には圧迫感を覚えました。
かなり窮屈な思いをしながら食べることになりましたね。
だからなのか――
そのときのお料理の味も、よく思い出せません。
逆に、かなりゆったりとしたスペースが用意されていたお店では――
お料理にこれといった工夫がみられないようなところでさえ、けっこう美味(おい)しく感じてしまいます。
そういうお店は、何年たっても、良い思い出ばかりなのですね。
たまに僕のことを味覚音痴だと笑う人がいるのですが――(笑
理由は、その辺にあると思っています。