公示日前なので、まだ、こういう話題も大丈夫ですよね。
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自民党が、
――政権交代は日本の将来に禍根を残す。
といった内容のキャンペーンを張っているようです。
スローガンを厳密に抜粋すると、
――安易な政権交代は、この国の将来に大きなダメージを残すかもしれない。
です。
自民党は今の与党ですから――
政権交代の意義を否定するのは当然です。
そのことに文句はありません。
文句があるのは、言葉の使い方です。
いや――
「文句」というよりは「懸念」でしょうか。
いらぬ老婆心を抱きました。
(おいおい――自民党、大丈夫か?)
と――
このスローガン――
言葉通りに解釈すれば、
――政権交代は、仮にそれが安易に行われたものであったとしても、日本の将来にダメージは与えないかもしれない。
というニュアンスになってしまいます。
つまり、
――とにかく1度は政権交代させてみようよ。
ということです。
どうしたことでしょう。
まるで民主党のスローガンではないですか(苦笑
言葉の使い方がおかしいのです。
「安易な政権交代は、この国の将来に大きなダメージを残すかもしれない」ではなく、
――民主党への政権交代は、この国の将来に大きなダメージを残すかもしれない。
とするか、
――安易な政権交代は、この国の将来に大きなダメージを残す。
とすればよかったのです。
「~かもしれない」というのは、文末表現としては確度 50% くらいです。
つまり、
――どっちに転んでも、おかしくはない。
といったニュアンスですね。
今の場合は、
――この国の将来に大きなダメージを残すかもしれないし、残さないかもしれない。どっちに転んでも、おかしくはない。
といった主張になります。
主語が「安易な政権交代」となっているのが致命的なのです。
もし「民主党への政権交代」であれば、たしかに確度 50% で否定しておくべきでしょう。
確度 100% で否定すると、誹謗中傷になりかねませんから――
が、「安易な」は常に否定的な意味合いを含みますから――
「安易な政権交代」ならば、自民党にとっても民主党にとっても、確度 100% で否定しておかなければなりません。
それを、確度 50% でしか否定していないのです。
政権交代を真っ先に否定すべき自民党が、です。
おかしな話ですよ。
これでは、
――自民党は民主党への政権交代を部分的には肯定している。
とみなされても仕方がないでしょう。
まあ、ムリからぬことかもしれませんね。
今のご時世、輿論全体がそうなってしまっているですから――
ちなみに――
僕のいい加減な推理によりますと――(笑
自民党が掲げているスローガン「安易な政権交代は、この国の将来に大きなダメージを残すかもしれない」は――
当初は「民主党への政権交代」が主語になっていたのだけれども、
――特定の政党を名指しにするのは、いかがなものか。
といった慎重論が起こり――
結局、主語を変えることになったのです。
もちろん――
名指しを控えるのは全く構わないのですが――
主語を変えるのなら、それに合わせて述語も変えないといけませんよね。