旅行雑誌などで、
――旅先でバスや電車などの生活路線に乗り込むのは風情がある。
などといった記述をみかけます。
たぶん、
――旅先の人々の日常の暮らしぶりが垣間みえることで旅情が増していく。
ということなのでしょう。
たしかに、そうかもしれませんが――
垣間みられるほうは、そんなに心地よいものではないのですよ(笑
日頃、僕が利用している電車の路線では、お盆などの旅行シーズンになると、ふだんなら絶対に混まない時間帯に、ふだんならまずみかけない服装のお客さんたちで、ごった返すのです。
(ああ、旅行者だな)
と、すぐにわかります。
旅行者は概してテンションが高いので――
車内はいつもよりも賑やか――もっといえば、ウルサいのです(苦笑
日頃の車内の秩序も大いに乱してくれますし――
いや――わかりますよ。
旅先ですからね。
いつもと同じテンションでいたら、つまらない――
僕だって、旅行者の立場なら、同じように振る舞うでしょう。
でもね――
どうしても気になってしまうのです。
ハイ・テンションの旅行者をみたら、つい、
――闖入者
と思ってしまう――
ですから――
旅行雑誌の記事などで「旅先でバスや電車などの生活路線に乗り込むのは風情がある」などと書かれてあるのをみると、筆者の想像力を疑ってしまいます。
そういうライターさんは、根っからの都会育ちで、「旅先」になりそうな土地に暮らしたことが、まったくないのでしょうね。