人の世には触れてはいけない話題というものがありまして――
いわゆる「タブー」とみなされているわけですが――
多くの人が、その話題に触れないのには、相応の理由があると思っております。
真っ先に考えられる理由は、
――その話題に触れることで自分の身に危険が及んだり誰かの心を傷つけたりするから――
というものです。
極めて常識的な理由ですね。
が――
実はもう1つ理由があって――
僕は、そちらのほうが意外に大きいのではないかと感じております。
その理由とは、
――その話題に触れても全く面白くないから――
というものです。
少なくとも僕個人の場合は――
いわゆるタブーの話題の多くは、とくに触れたいとは思わないのですね。
世の中にタブーの話題が全部で幾つあるかは知りませんが――
その中で、僕が、
(あ、これは面白そうだ)
と思えるものは、ほとんどありません。
もちろん、全くないわけではありませんが――
あったとしても、たぶん1つか2つですよ。
そして――
それは、おそらく他の人たちにとっては、どうでもいいことです。
――それのどこが面白いの?
と思うようなことに違いありません。
つまり――
タブーの話題というものは、その話題の面白さを共有できる人たちの数が圧倒的に少ないからタブーになっているのではないか――
ということですね。
その辺は、世の中、意外に巧くできているような気がします。