マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

歳をとって異質になる

 どんな作家にも――
 10代や20代のうちに仕上げておくべき作品というのがあって――
 そういう作品を、30代や40代になってから仕上げても、ちゃんとした仕上がりにはならない――
 そのように考えています。

 作家というのは、広い意味で述べたものです。
 小説家や画家、映画監督、シンガーソングライターなどを含みます。

 どうして、そういう風に思うのかといえば――

 例えば、僕は今30代ですが――
 その30代の僕からみて――
 ある20代の作家が、20代のうちに仕上げておくべき作品をきちんと仕上げているのをみたりすると、
(ああ、ホントに良い仕事をやってるなあ)
 とは思えるのですが、
(ああ、それ、すごくよくわかるなあ)
 とは思えないのですね。

 本当の意味で共感できずにいる――

 たぶん、20代の僕なら共感できたはずなのです――
 あるいは、10代の僕でも――

 が、30代の僕では、共感できずにいる――
 頭での理解で終わってしまっている――

 悲しいことですが――
 それが現実だと思います。

 30代の自分は、10代や20代の自分に積み重なったものではあっても――
 10代や20代の自分を補って全うするものではないのです。

 時とともに、異質になる――
 自分の昔の性質に新たな性質が加わるのではなく、昔の性質が変わる――

 歳をとるということは――
 たぶん、そういうことなのです。