マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

サイエンス・フィクションから疑似科学に

 科学と疑似科学とを分けるものは、実験や観測による再現性や反証可能性の有無です。

 本物の科学は、実験や観測によって同じ結果を再現しようと努め――
 それら結果が従来の考えを覆すときには、無条件でそれを受け入れようとする精神――反証可能性の精神――によって営まれています。

 したがって――
 疑似科学に騙されたくない人は、科学者や研究者たちが行ったり行おうとしたりしている実験や観測について、詳しく知ろうと努力します。

 逆に――
 疑似科学で誰かを騙そうとする人は、もっともらしい実験や観測の結果をでっち上げるのですね。

 したがって、科学と疑似科学とを見分ける素養というのは、現実の実験や観測についての知識です。

 ――ええ? そんな実験できないでしょ!

 とか、

 ――そんな観測結果はありえないでしょ!

 とかいった判断を下すための情報をどれだけたくさんもっているか、なのですね。

 何をいいたいのかといいますと――
 大切なのは実験や観測であって――
 いくら理論や仮説についての知識をたくさんもっていても、疑似科学をそれと見抜くことは難しい、ということです。

 むしろ、いたずらに理論や仮説のことを知っている人は、かえって疑似科学に騙されやすくなるでしょう。

 世の中には、サイエンス・フィクションから疑似科学にハマる人がいるようですが――
 そういう人は、たぶん、本物の科学の理論や仮説のことには興味があっても、本物の科学の実験や観測のことには、そんなに興味がないのでしょうね。

 通常、サイエンス・フィクションは理論や仮説を援用しますが、実験や観測に言及することは希だからです。