最近は、
――政権交代
という言葉が大流行ですね。
自民党が長期政権を続けていたときには見向きもされなかった言葉です。
この言葉が大流行なのは結構ですが――
あまりにも節操なく用いるのは、どうかと思います。
政権交代は、議会制民主主義では大変に重要なことで――
一時のトレンドで終わっては困るからです。
政治に限らず、様々なところに「政権交代」を借用すると、他愛のないブームに終わってしまいそうです。
政権交代は、議会制民主主義のコストですよ。
政治家はもちろん、官僚として働く人々、あるいはそれら人々の周辺で働く人々に、深刻で面倒な痛みを伴います。
とくに政治家の人々の中には、職を失うことによって、多大な痛みが私生活にまでおよぶ人も出てきますよね。
ですから――
実をいえば、全ての人々が、いつまでも楽しく穏やかに暮らすためには、政権交代などは、ないほうがいいのです。
議会制民主主義を堅持する以上、そうもいっていられないから、たまには政権交代を起こすわけで――
そうやって、一部の人々に、深刻で面倒な痛みを強いているのです。
そうした背景が実感できていれば――
「政権交代」という言葉を気安く使うのは、ためらわれると思うのですが――