きのうの『道草日記』で、
――「富は人を幸せにするか?」よりも「富は人を強欲にするか?」を問うほうがよい。
と述べました。
そのほうが、より面白い議論になると思うからです。
もし、富が人を強欲にするのであれば、例えば、こういうことがいえそうです。
所持金が100万のときよりも1000万のときのほうが強欲になる――
1000万よりも1億のほうが強欲になる――
1億よりも10億のほうが強欲になる――
こういうことは起こりうるでしょうか。
実は、欲の定義を狭くし、1つの仮定を設けることで、それらしい結論を得ます。
まず、欲を、
――自分の富を増やそうとする欲求
と捉えます。
その上で、
――人は、富を増やそうとするときに、富の多少に関わらず、つねに一定の割合で増やそうとする。
と仮定します。
例えば、
――2割増しに増やそうとする。
と仮定しましょう。
すると、所持金100万の人は120万に増やそうとすることになります。
同様に、所持金1000万の人は1200万に――1億の人は1億2000万に――10億の人は12億に増やそうとする――
つまり、所持金100万の人は20万の上乗せで満たされ――
1000万の人は200万で満たされ、1億の人は2000万で満たされ、10億の人は2億で満たされることになります。
よって、より多くの富の上乗せで満たされる状態が「強欲」であると定義すれば――
たしかに、人は富によって強欲になることが示されます。
この結論が妥当かどうかは――
前述の仮定「人は、富を増やそうとするときに、富の多少に関わらず、つねに一定の割合で増やそうとする」の妥当性に依存します。
皆さんのご判断は、いかがでしょうか。
僕は、まあまあ妥当な仮定のように感じます。