マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

「富は人を幸せにするか?」では面白くない

 ――富は人を幸せにするか?

 と訊かれたら――
 皆さんは、どのようにお感じになるでしょうか。

 僕は、
(つまらん)
 と思います(笑

 なぜならば――
 ほとんどの人が、この質問に、

 ――否

 と答えると思うからです。

 つまり、

 ――富は人を幸せにしない。

 と――

 富が人を幸せにするかどうかを疑うような文脈では――
「富」がワルモノになるのは当たり前です。

 そもそも――
 多すぎる富が人々に争いをもたらすのは、否定しがたい事実でしょう。

 なぜか。

 おそらくは――
 多すぎる富が人間の欲望を刺激し、人々を強欲に変えるからです。

 ――もっと富を! もっと富を!

 というように――

 人間の欲望にはキリがありません。
 その欲望が無制御になれば、「強欲」となります。
 強欲な本性を隠しもっているからこそ、生物種としてのヒトは、他に例のない進化・発展を遂げてきたと考えられます。

「富は人を幸せにするか?」という質問は、人間の強欲な本性を無意識のうちに想起させるようです。
 だからこそ、ほとんどの人が、この質問に「否」と答える、と――

「強欲は人を幸せにするか?」であれば――
 誰もが「否」と答えるに決まっていますよね。

 であるならば――
「富は人を幸せにするか?」という質問は、本質的な議論を遠ざけることになりましょう。

 だから、この質問は面白くないのです。

 それよりも、

 ――富は人を強欲にするか?

 と問うほうが、ずっと面白い――
 本質的な議論を呼び込むことでしょう。