清廉で高潔そうな人よりも強欲で下劣そうな人のほうが得をする――
ということがあるように思います。
――この人、いかにも周りに恩恵を振りまいていそうだな。
と思わせる人よりも、
――この人、いかにも周りに毒を撒き散らしていそうだな。
と思わせる人のほうが損をしにくい――
ということですね。
理由は少なくとも2つあります。
1つは、親しみをもたれやすいということです。
概して強欲な人であっても、たまに普通に抑制的な言動をみせたりすると、
――あ。この人も、同じ人間なんだ。
と親しみをもたれるようになる――
もう1つは、見直されやすいということです。
概して下劣な人であっても、たまに品位のある言動をみせたりすると、
――この人、実は良い人なのかも……。
と見直されるようになる――
以上のことを十分に見切った上で、あえて強欲で下劣そうに装っている(と思われる)人を――
たまに見かけますが――
(すごい勇気と割り切り方が要るんだろうな)
と想像しています。
が、もしかして――
そのように、あえて強欲で下劣そうに装っている人にいわせると、
――あえて清廉で高潔そうに装っていて、ある時、ふとしたことで本性に気づかれて、落胆されたり、足元をみられたりするほうが、よほど恐ろしい。
ということなのかもしれません。