頼られ、求められ、甘えられる喜び――
というものがあります。
この喜びには依存性があって――
他者から頼られ、求められ、甘えられれば甘えられるほどに――
人は、その喜びに、いつまでも浸っていようとする傾向があります。
それは、ほとんど、
――耽溺
といっても良いくらいの粘着的な衝動です。
そのような耽溺を回避するには、どうしたらよいでしょうか。
残念ながら――
簡便な打開策はありません。
拒むことを地道に覚えていきます。
頼られ、求められ、甘えられることを――
いつでも、必要に応じ、巧みに拒めるようになっておく――
そのように拒むことを、
――拒む技術
と呼びましょう。
この技術は、独立自尊の維持には必須です。
拒む技術が拙いと、他者から自分への依存を許し、ひいては自分から他者への依存を許し――
それら依存が相互に際限なく助長し合っていくからです。