――恋愛(れんあい)での“取りかえしのつかない失敗”
というのは、めずらしくはない――
と、きのう、のべました。
――人を大切にできない人が、だれかに恋(こい)をし、その相手を追いかけ、逃(に)げられることで、その相手を殺そうとしてしまうこと
というのは、かなり極端(きょくたん)な例で――
たしかに、めずらしいのですが――
――だれかに恋をし、その相手の注意をひきたくて、あえてあぶないことをやってみせ、あやまって死んでしまうこと
というのは、そんなにめずらしくはない――
と――
だから――
十分に気をつけないといけません。
……
……
ところで――
きのう、のべた、
――だれかに恋をし、その相手の注意をひきたくて、あえてあぶないことをやってみせ、あやまって死んでしまうこと
というのは、
――だれかに恋をした人が、自分のことを大切にできなくて起こす失敗
です。
一方――
おととい、のべた、
――人を大切にできない人が、だれかに恋をし、その相手を追いかけ、逃げられることで、その相手を殺そうとしてしまうこと
というのは、
――だれかに恋をした人が、その相手のことを大切にできなくて起こす失敗
です。
このように比(くら)べると――
何となく、
――自分のことを大切にできなくて起こす失敗
のほうが、
――相手のことを大切にできなくて起こす失敗
よりも、マシであるように思えますね。
たしかに、ちょっとはマシかもしれませんが――
実際(じっさい)には――
ほとんど差はないといってよいのです。
だれかを殺せば、決して消えることのない罪(つみ)を自分に負わせることになります。
あやまって死んでしまえば、恋の相手は、ひどくビックリして深く悲しむかもしれません。
自分のことを大切にできない人は、自分以外の人のことも大切にできないし――
自分以外の人のことを大切にできない人は、自分のことも大切にできないのですね。
――人を大切にする。
ということは、
――自分のことも自分以外の人のことも、どちらも大切にする。
ということです。
『10 歳の頃の貴方へ――』