自分が恋(こい)をしている人のことを大切にするのに我慢(がまん)が必要である理由は――
自分が恋をしている人も、同じように自分に恋をしてくれるとは、かぎらないからである――
と、きのう、のべました。
きょうは――
自分に恋をしている人のことを大切にするのに覚悟(かくご)が必要である理由について、のべましょう。
その前に――
――覚悟
という言葉は――
ちょっと、わかりづらいかもしれません。
――覚悟
というのは、
――あぶないということや難(むずか)しいということ、あるいは、自分は得をしないかもしれないということ、ひょっとすると損をするかもしれないということを十分にわかった上で、それら全てを受け入れること
です。
よって――
自分に恋をしている人のことを大切にするのに覚悟が必要であるということは――
自分に恋をしている人のことを大切にすることは、あぶないことであり、難しいことであり、また、得はしないことかもしれず、むしろ、損をするかもしれないことである――
ということなのです。
あなたに恋をしている人は、
――あなたと、いつまでも一緒(いっしょ)にいたい。
と思っています。
万が一、あなたに恋をしている人に、あなたへの愛がなければ――
あなたは、その人によって、どこかへ連れていかれるかもしれない――
だから、あぶないのです。
また、
――あなたと、いつまでも一緒にいたい。
という気持ちに応(こた)えるには――
あなたも同じように、
――その人と、いつまでも一緒にいたい。
と思う必要がありますが――
そのように自分の考えを変えていくのは、なかなかに難しいことなのですね。
たいていは――
そのように気持ちを無理に変えていくことはできず――
自然と気持ちが変わっていくのを待つことになります。
自然と気持ちが変わるのに――
数か月間とか数年間くらい待たなければならないかもしれません。
早ければ数日間で変わるかもしれませんが――
その後すぐに、また別の気持ちに変わるかもしれない――
その結果、
――いったい何の意味があったんだろう?
と、むなしく思ってしまうかもしれない――
だから、
――覚悟
がいるのですね。
――自分に恋をしている人を大切にする。
というのは、
――自分が恋をしている人を大切にする。
というのとは、また別の意味で――
かなり大変なのです。
『10 歳の頃の貴方へ――』