――何のために勉強するのか。
と、子に訊かれ、
――将来のためだ。
と、あいまいに答えたり――
あるいは、
――社会で広く通用する学識や技能を習得するためだ。
とか――
もっと露骨に、
――多くの人たちから一目おかれる学歴を取得するためだ。
と答える親は――
少なくないようですが――
やっぱり――
そこで、親が本気で答えるべき正論は、
――勉強の面白さを感じるためだ。
でしょう。
それ以外に何があるでしょうか。
勉強が本当に面白いことなのか否か――
そこは議論のあるところです。
が、少なくとも――
世の中には、勉強の面白さを感じる人たちが、一定の割合で存在している――
その事実を否定することは、おそらく何人にも不可能でしょう。
そうであるならば――
その「一定の割合」の人たちの中に自分が含まれるのか否かを自分で判断させる――実際に勉強させることによって――
それが、親の務めであろうと思います。
曰く、
――勉強というものは面白いことのようだけれども、どういうわけか、その面白さを感じる人と感じない人とがいる。お前はどちらかな。それを今のうちにわかっておくために、子供は勉強するのだよ。
と――
その時――
親は、怯むことなく、自分の真実も伝えるのがよいでしょう。
――私は、勉強を面白いとは感じないけどね。
とか、
――私は、勉強を面白いと感じるけどね。
と――
ここで怯むと――
たぶん、子の心は動きません。