面白さを共有するというのは――
大変に難しいことです。
何を面白いと思うかは、人それぞれなのですね。
この「面白さの共有の難しさ」を知っているのと知らないのとでは――
その後の独自性への追究の仕方が、大いに変わってくることでしょう。
面白さは万人に共通であると信じ込んでいる人は――
たぶん、自分が面白いと感じることを、そんなに深くは追究しません。
逆に――
面白さが他者に共有され難いとわかっている人は――
自分が面白いと感じることのなかに、自分本来の独自性を見出そうと勇躍するでしょう。
その独自性は、自分以外の人たちに、おそらく、すぐには肯定されませんが――
しかし――
自分本来の独自性を粘り強く追究し続けていくうちに――
次第に、その独自性は洗練されていき――
やがて、他の人たちの関心を、ごく自然に惹き寄せるようになるでしょう。
では、
――独自性を洗練させていく。
とは、どういうことか。
おそらく――
自分にとっての面白さが、自分だけの面白さにとどまらないようにするには、どうすればよいのか――自分の好奇心の出発点や方向性をどのように変えていけばよいのか――
それが独自性の洗練化の本質です。