経済学の評論やエッセイをみていると――
経済学を自然学だと錯覚することがあります。
つまり、
――人の経済活動を自然現象のようにみなしてしまう。
ということですね。
「錯覚」という言葉を使いましたが――
あながち錯覚ではないかもしれません。
人の経済活動は、人の集団心理を反映していると考えられます。
人の集団心理というのは、ヒトの脳の相互作用の集積でしょうから――
結局は、脳の働きに還元できるでしょう。
脳はヒトの体の一部です。
ヒトの体は自然物です。
よって、人の集団心理の根底には、自然の振る舞いが潜んでいます。
人の経済活動が行き過ぎると、人の財産や生命を脅かします。
人のためにあるはずの経済活動が、人の安寧を脅かす――
それは、経済活動を自然現象ととらえることで、納得できます。
経済活動が人の安寧を脅かすのは――
ヒトの体の中の現象が人の安寧を脅かすのと等価でしょう。
病いのことです。
病いとは、ヒトの体の中の現象が人を脅かしている状態です。