女の恋なら、いざしらず――
男の恋というのは、基本的には、ろくなものではないと感じております。
恋というのは、体の反応が心に影響を及ぼしていると思うのです。
つまり――
男の恋とは、男の体が人の心に引き起こしているもので――
それは、男の本能的な欲求に根差している、と――
生物学的な欲求といいかえてもよいでしょう。
――1人でも多く自分の子孫を残したい!
という欲求です。
もう少し下品にいうと、
――1つでも多く自分の精子をまき散らしたい!
ですね。
相手のことなど、おかまいなしの欲求です。
男による女性相手の残虐な事件が絶えないのは――
簡単にいえば、
――男の恋が暴走したから――
と、とらえることができます。
子孫をしっかりと残すためには、相手の女性に残虐的な仕打ちをしても意味はないはずですが――
子孫を残すことが第一義なのではなく、精子をまき散らすことが第一義なので――
それに協力をしない女性は、残虐な仕打ちの対象になりうるのです。
このように、男の恋は、きわめて厄介で、扱いにくいものです。
よって、世の中に、女の恋を描く物語は多くしても、男の恋を描く物語は少ないのですね。
強いていえば、官能小説とかアダルトDVDとか――
一見、男の恋を描く物語も――
よくみると、それは、人の愛を描いております。
男が、男の恋から自由になって、一個の人として、誰か女性を愛する物語ですね。