学校教育の欠点は色々と指摘されておりますが――
その中で最も重大と思しき欠点は、
――コミュニケーション能力が磨かれない。
という点でしょう。
「コミュニケーション能力」とは、簡単にいえば――
相手の考えていることや感じていることを理解し、かつ、自分の考えていることや感じていることを相手に理解してもらえる能力のことです。
学校という教育現場は、基本的には、多対一の場です。
生徒という「多」が教師という「一」に向き合う場です。
コミュニケーションの本来あるべき姿は多対一ではありません。
一対一です。
学校教育がコミュニケーション能力を磨くのに適していない場であることは、自明といってよいでしょう。
現状では――
学校教育を終えかける10代後半から20代前半にかけては――
コミュニケーション能力が最も磨かれる時期です。
この時期を漫然とすごす人に、本物のコミュニケーション能力を獲得することは、終生、できません。
が――
こうした点を、学校教育の担い手は、なかなか伝えられないでいます。
その結果――
学校教育に疑問をもつことなく、真っ直ぐに育てられた児童や生徒ほど、コミュニケーション能力に支障をきたしやすい――
という不幸な結果が生じているようです。
学校教育に反発することが素敵なことだとみなされる風潮は根強いのですが――
その理由は、学校教育の場がコミュニケーション能力を磨くのに敵していないことと無縁ではないでしょう。