マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

政治家が有権者を

 ニュースや新聞などで、昨今の我が国の政治情勢をみていると、

 ――政治家が有権者を教え導くではなく、有権者が政治家を教え導くのだ。

 という思いを新たにします。

 こう述べると、政治家の人々は面白くないでしょう。

 が――
 どんなに有能な政治家が頑張ってみたところで――
 有権者一人ひとりの理解を深めたり、知識を増やしたり、意識を変えたりすることは、困難です。

 政治家は、有権者に対し、教育者の役回りを演じることは、ほぼ不可能です。

 仮に、優れた教育者が政治家になったとしても――
 1人で何千、何万という有権者を教え導くことは、原理的に無理といってよいでしょう。

 教育者は、有権者のほうです。
 何千、何万という有権者の総意が、政治家に対し、教育者の意志として作用します。

 つまり、政治家は、被教育者――学習者なのです。

 よって――
 他者に教えを請うセンスが、政治家の力量を左右するといえましょう。
 あるいは、他者から学び取るセンスが――

 ただし、この場合の教育者は、決して教育者として優れた資質を備えているわけではありません。
 むしろ、資質は劣っているとみるべきでしょう。

 それは、何千、何万という人間の意思の総和です。
 その正体は曖昧模糊であり、ときに魑魅魍魎とさえいってよい――

 かかる鵺のごとき教育者に教えを請う、あるいは、そこから学び取る――
 政治家には、類いまれなる学習者としての才覚が、何よりも求められているのではないでしょうか。