僕らは、日頃、男言葉と女言葉とを何気なく区別しておりますが――
その違いをわかりやすく説明しようとすると、意外に難しいことに気づきます。
真っ先に思い付くのは、語尾ですね。
――きのうは雨だったわ。
というと、一見、女言葉のようですが――
ちょっと抑揚の付け方を変えてやれば、男性にも違和感はありません。
では、抑揚の付け方が男言葉と女言葉とを分けているのでしょうか。
少なくとも英語では、そういってよいようです。
一般に、女性の英語はイントネーションの変化が豊富です。
男性の英語は、そうでもない――ときには日本語と聞き紛うくらいにイントネーションの起伏が少なかったりします。
ですから――
英語では、抑揚の付け方が男言葉と女言葉とをわけているといってもいいのかもしれません。
では、日本語でも同じことがいえるでしょうか。
たしかに、いえるのかもしれませんが――
ちょっと、僕には引っ掛かるのです。
というのは――
話し言葉だけでなく、書き言葉でも、書き手の性別がわかるような気がするからです。
書き言葉ですから――
当然、抑揚などはありません。
それでも性別がわかってしまうのだとしたら――
抑揚の付け方が男言葉と女言葉とをわけているという主張は、説得力を失います。
とくに、くだけたエッセイなどを読んでいて――
そう思うのですよ。
女性作家の書くエッセイは、すぐに女性のものとわかりませんかね。
反対に、男性作家の書くエッセイも、すぐに男性が書いたものとわかる――
最近では、ブログの文面でも似たような印象をもちます。
何となく性別がわかる――わかってしまう――
もちろん、外れることもあるのですが――
男言葉と女言葉と――
その違いを究めるには、少し時間が必要のようです。