大人の能力の一つに、
――疑う力
があるでしょう。
古来の常識や多数派の意見を――
すぐには受け入れようとしない意志ないし感性のことです。
例えば――
あるイベントについて、メディアが一様に大騒ぎをしながら報じているときに、その報道の内容や姿勢に疑義を挟む――
――そんな風に騒ぐべきことなのか。
――そんな風に騒いでいていいのか。
と――
この「疑う力」の意義をについて――
大人は子供に、いつ教えるべきでしょうか。
早すぎてもいけません。
遅すぎてもいけません。
ちょうどよいタイミングというものが、あるはずです。
それは、いつなのか。
おそらくは――
子供が、大人の限界に気付いたときでしょう。
「大人の限界」というのは――
文字通りの限界――能力の限界、知識の限界――
あるいは、大人の狡猾さ、欺瞞――
大人の限界に気付いていない子供には――
「疑う力」は不要です。
むしろ、害悪となりかねない――
気付いてきて、大人に対して斜に構え始めたときにこそ――
「疑う力」が必要なのです。
――疑っていいんだよ。
――疑うことが大切だ。
と――
このことを絶妙のタイミングで教われる子供は――
きわめて幸福であると思います。