自然の緑は、心を和ませます。
抜けるような青空の下に、深い森が生い茂っているのを目にすれば――
とても穏やかな気持ちになれるものですが――
たとえ、曇天の暗がりの下であっても――
それはそれで、それなりに穏やかな気持ちになれるものです。
自然の緑には、摩訶不思議な効能が備わっています。
僕は、この感覚が嫌いではなく――
ときどき、休日などに、ただ雑木林を眺めるだけで過ごすことがあるのですが――
そうしたときに思うのは――
(あの雑木林の傍に電信柱なんかが立っているから、自然の緑が、より豊かにみえるのだな)
ということです。
時代劇の映画などで、たまに電信柱のない雑木林をみることがありますが――
あれはあれで不安になるのですね。
雑木林が得体の知れない魔物にみえたりする――
このことも――
たぶん、きのうの『道草日記』で触れた、
――人の知覚の原理
と関連があるのでしょう。