辛味が甘味をひきたてるということは――
よくありますね。
スイカに塩をふりかけると甘さが増すという原理です。
この原理は――
結局のところは、人の知覚の原理でしょう。
思いっきり要約してしまえば、
――A を知覚するには、その傍らに A でないものの存在しているほうがよい。
ということです。
つまり――
もし、そこに A しか存在していなければ――
人は、かえって A を知覚しにくくなるのです。
この原理は、あらゆるところで応用可能です。
例えば――
毎日、忙しい生活を送っている人が、たまに暇な休日を過ごしたりすると――
かえって自分の忙しさを痛感するというように――
休日も忙しく過ごす人には――
自分の忙しさがわからないというように――
ということは――
人は、いつも同じことを繰り返していては損なのです。
つねに適度に変化をつけているほうがよい――
そうすれば、少なくとも知覚は豊かになる――
知覚が豊かになれば――
精神が豊かになります。
精神が豊かになれば――
人生が豊かになるでしょう。