人生は後ろ向きに歩く旅のようなものです。
誰にも、自分の行き先がみえていない――
みえているのは、自分の来し方だけ――
人は、自分の過去はわかりますが、自分の未来はわかりませんよね。
そのことからの喩えです。
よく、
――前向きに生きろ。
などといわれますが――
人生が後ろ向きの旅路なら――
「前向きに」は「後ろをみて」ということです。
つまり、
――自分の過去をしっかりと認識せよ。
ということですね。
逆に、未来志向で生きるということは――
背後を振り返ることに相当します。
後ろ向きに歩きつつ背後を振り返る――
何だか危なっかしいですね。
今にも転びそうです。
「未来志向に生きろ」などというと、まさに金科玉条のように感じられますが――
後ろ向きにあるきながら、さらに背後を振り返っているかのような危うさのあることは、心に留めておくべきでしょう。
みえるはずのない未来を必死で見通そうと意固地になることは、大変に危険なことであるといわねばなりません。