先日、何気なく新聞を読んでいたら――
哲学者の鷲田清一さんが、いわゆる読書会について語っておられる記事をみかけました。
――1人でよむと、くじけそうになるが、みんなでよめば大丈夫――
というのが、ふつうの読書会ですが――
そういうのは「お勉強会」であって真の読書会ではないと、鷲田さんはおっしゃります。
真の読書会とは、
――対象の本に書かれていることのみについて話し合い、その著者の論理に自分を溶け込ませるようにして本の内容を理解していく会
であると――
そうした読書会にするには、3つのルールが有用だそうです。
1.参加メンバーは互いに名前しか明かさない。
2.他人の言葉の引用はしない。
3.他の参加メンバーの話は最後まできく。
この3つのルールを設定するだけで、読書会が演説会になったりウンチクのたれあいになったりすることを防げる、とか――
(なるほど~)
と思いました。
これまでに読書会と称される会に幾つか参加してきましたが――
たしかに、演説会になったりウンチクのたれあいになったりすることが多かったのですよね。
そういう読書会では、たしかに、
1.参加メンバーがつねに自分の肩書きを意識している。
2.著名人の言葉を引用したがる参加メンバーがいる。
3.他の参加メンバーの話を途中で遮る人がいる。
といった点が目立ちました。
僕自身も、そのように振る舞っていたことがありました。
いや~。
よくなかったですね~。
……
……
ちなみに――
この同じ記事で、鷲田さんは平田オリザさんのご見解を引き合いに出しておられます。
平田さんは劇作家・演出家として高名な方ですね。
曰く、
――ダイアローグとディベートとの違いは何か。
です。
ダイアローグとは「対話」であり、ディベートとは「論争」ですね。
その違いとは何か。
――話し合いの前後で自分の考えが変わっているのが対話であり、変わってはいけないのが論争である。
鷲田さんは、この定義付けを、
――見事
と簡潔に評価されておられます。
たしかに、見事です。
真の読書会は対話の場であって――
論争の場ではないはずですよね。