モロッコで開かれている国際捕鯨委員会が、事実上、決裂したそうですね。
日本を中心とする捕鯨国とオーストラリアやアメリカ、ヨーロッパ連合を中心とする反捕鯨国との対立が終わらず、もう何年も膠着状態が続き――
国際捕鯨委員会は機能不全に陥っていました。
これでは、委員会の存在意義が問われると考えた多くの関係者が、現実的な妥協案を探ったそうですが――
それも、結局は多くの支持が得られなかったそうです。
捕鯨国と反捕鯨国との立ち位置が離れすぎているためでしょう。
その両者の中間の位置に妥協案がセットされたので、どちらにとっても受け入れられなかったのだと思います。
きくところによると――
交渉の実務者が妥協案をみ、その内容を本国に報告してみたら――
捕鯨国・反捕鯨国ともに本国からの猛烈な反発にあったとか――
もちろん、僕にことの真偽はわかりませんが――
いかにもありそうな話ではあります。
捕鯨問題が、ここまでこじれているのは――
感情的対立に発展しているからでしょう。
昔からクジラを十全に利用してきた食文化を守りたいという日本の感情と――
自国の近くの南極海でクジラが捕獲(捕殺)されるのは耐え難いというオーストラリアの感情と――です。
ことが感情的対立になってしまっていますから――
そう簡単には解決できません。
人間同士の問題を解決するには理屈を持ち出すのが手っ取り早いのですが――
感情的対立の解消に理屈を持ち出すと、感情の暴風が余計に吹き荒れたりするものです。
それが人間の弱さですから――
感情の暴風が国家間戦争という名の人災をもたらさぬよう、祈るばかりです。
もちろん――
皆が歴史を十分に学んでいれば――
杞憂に終わる話であろうとは思います。